アメリカ心臓協会緊急心血管治療（AHA ECC）について
心臓病や脳卒中といった心血管疾患は世界中で死亡原因の多くを占め、毎年1,700万人以上が亡くなっています。これが2030年には2,300万人に達すると推測されています。アメリカ心臓協会（American Heart Association: AHA）はこの死亡率を減少させるために緊急心血管治療（Emergency Cardiovascular Care: ECC）に重点をおいており、その一環として世界各地で共通のプログラムに基づいた心肺蘇生法講習を行なっています。世界中で活躍しているインストラクターは30,000人以上に登ります。
１. 救命の連鎖（成人）
（American Heart Association 心肺蘇生と救急心血管治療のための ガイドライン2020 より引用）
AHAは院外心停止（out-of-hospital cardiac arrest: OHCA）と主に病院内で発生する院内心停止（in-hospital cardiac arrest: IHCA）の双方について救命の連鎖を提唱しています。
院外心停止（OHCA）を起こした傷病者をサポートするのは、地域社会です。市民救助者が傷病者の心停止を認識し、一刻も早く通報する必要があります。そのうえで心肺蘇生法（cardiopulmonary resuscitation: CPR）を開始し、早期に除細動（AEDを用いた市民による電気ショック（public access defibrillation: PAD））を行います。救急車が到着するまでCPRを継続し、救急隊に引き継ぎます。救急隊は必要に応じてCPRを継続し、適切な病院へ搬送します。病院では状態に応じた二次救命処置を開始し、心拍が再開すれば心拍再開後の治療を行います。
院内心停止（IHCA）でも心停止の早期の認識と緊急コール発動が大切です。質の高いCPRを開始し、早期の除細動、速やかな二次救命処置を行います。自己心拍が再開（return of spontaneous circulation: ROSC）すれば心拍再開後の治療を行います。
２. Atlasについて
AHAの心肺蘇生法講習を受講するにはAtlas（https://atlas.heart.org/ja/home）への登録が必要です。これに登録することで受講後に修了証（プロバイダーカード）を閲覧・発行することができます。以前は受講証としてカードサイズのプロバイダーカードをお渡ししていましたが、現在はこのAtlasを用いたeCardに置き換わっています。
とくにHeartCodeコース（web学習とクラスルームでの実技練習・評価を組み合わせたブレンデッド・コース）では事前学習のためにAtlasへ登録し、eLearning形式で知識を習得する必要があります。
Atlasの操作方法については、マニュアルを用意しましたので、下記をご参照ください。
3. PAMについて
（American Heart Association 救急心血管治療 プログラム運営マニュアル (PAM) プログラム運営とトレーニングのガイドライン 国際版 より引用）
AHAはアメリカ本国をはじめ世界各地で心肺蘇生法講習を行なっていますが、すべて共通のプログラムに基づいでコースが開催されています。このコース遠影の基本となる規約がプログラム運営マニュアル（Program Administration Manual: PAM）です。このPAMは適宜アップデートされ、上記のAtlasに最新版が公開されています。（ただしAtlasからPAMにアクセスするためにはインストラクターのログインが必要です。）
AHAインストラクター、とくにコースディレクターやファカルティ資格をお持ちの方は、必ず内容に目を通して置いてください。
Atlas操作方法
コース終了後に、AHAのAtlasへの新規登録が必要です。登録するとeCard（修了証）がダウンロードできるようになります。Atlasの操作方法については、マニュアルを用意しましたので、下記をご参照ください。
